ラベルにおけるミャンマー語の表示義務

堤 雄史(つつみ ゆうじ)

SAGA国際法律事務所代表弁護士

(1) はじめに

 2014年3月14日に公布された消費者保護法8条において、「ミャンマー語で、またはミャンマーと他の言語で共同して記載されていない商品、又は、中央消費者保護委員会によって決められた日付からの使用に際する、情報や取扱説明がない商品」を製造又は取引することは禁止されていた。しかし、当該日付がいつからかについては何ら通知されておらず、取扱説明書などのミャンマー語の記載がなく、外国語のみの商品もミャンマーで多く流通している。

 そのような中、2018年10月26日に中央消費者保護委員会より「消費者の安全のための、ミャンマーの製品のラベルへのミャンマー語又はミャンマー語を含む併記」についての通知(以下「本通知」という)が発布され、6ヶ月後の2019年4月26日より施行されることとなった。

 本通知の概要は以下のとおりである。

(2) 必要な記載内容

 事業者は、ミャンマー語又はミャンマー語を含む明記で、以下の事項を記載しなければならない。

➀使用方法
➁保管方法
➂アレルギー表示及び製品の注意事項
➃副作用

(3) 罰則

 上記必要的記載事項を記載しない事業者は、消費者保護法19条に基づき、消費者紛争処理機関が、以下のいずれか、または複数の措置を講じる。

(a) 警告
(b) 重大な警告
(c) 救済
(d) 限られた期間、争っている商品の販売と流通を禁止すること
(e) 市場でのリコールを要求すること
(f) 消費者に危険を引き起こす可能性のある商品を破壊すること
(g) 免許を一時的または永久に取り消す必要がある場合は、関係省庁と調整すること

(4) 適用対象

 消費者保護法及び本通知上、ミャンマーにおける製品すべてが上記必要的記載事項を表示しなければならない。他方、本通知上は、優先的に表示が要求される品目として以下の9品目が規定されている。

製品 製品の種類
1 食料 各種ジュース及びジャム、牛乳及び乳製品、肉及び肉製品、卵及び卵製品、缶詰、食用油、インスタントコーヒー及び紅茶、インスタントヌードル、調理済食品、冷凍食品、飲料水、香辛料(食品の色、匂い、味を強めるために使用する)、チリソース及び他のソース、スナック、子供用栄養サプリメント、キンマ、たばこ、飲料及び他の精製又は加工済食品
2 家庭用品 各種家庭用電気製品
3 子供用品 各種カート、赤ちゃん用歩行器、玩具、物品、ゆりかご、衛生用品
4 通信設備 各種有線又は無線電話、携帯電話及び関連製品
5 医薬品及び
サプリメント
各種医薬品(内服用及び外用)、栄養サプリ面と及び医者の処方箋が必要とされない伝統薬
6 化学製品 各種農薬、殺虫剤、食品用、日用品用、化粧品用の化学製品
7 化粧品 各種美容製品及びヘアケア製品
8 日用品 各種歯磨き粉及び石鹸(液体、固体、粉末)
9 機器 各種農業用機器及び健康ケア用品

(5) 今後の対応

 上記9つの優先品目とそれ以外の製品との関係性については明らかではない。しかし、消費者保護法及び本通知上は、ミャンマーにおける製品すべてが適用対象となっている以上、優先品目に規定されていない品目であっても2019年4月26日以降は表示義務を負うと解するのが法文上素直な解釈である。また、法令上の問題のみならず、リスク管理の観点からも、ミャンマーにおいて消費者の安全に対する意識が向上している現在、全ての製品に今後はミャンマー語を含むラベルを表記することが望ましいと解される。
SAGA国際法律事務所代表弁護士

堤 雄史(つつみ ゆうじ)

東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。SAGA国際法律事務所代表であり(http://www.sagaasialaw.com/)、タイにTNY国際法律事務所(http://www.tny-legal.com/)、マレーシアにTNYConsulting(Malaysia)SDN.BHD.(http://tnygroup.biz/index.html)を有している。タイ法、マレーシア法及びミャンマー法関連の法律業務(契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。問い合わせ先:yujit@tny-legal.com

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